2006.2 |
数年前の2月の話ですが、あるラーメンチェーン店で一人夕飯を食べてそのお勘定の際、男くさいオッサンの店員から、「これ本日のサービスなんで」と一口チョコを渡されて、そう言えば今日はバレンタインデーだったと思い出し、店を出てその百円ショップに袋で売ってる様な安っぽいチョコを食べながら、改めて街の風景を見てみると、確かに普段よりカップルがちょっと多めで、更に普段より何となくちょっと幸せそうで楽しげであり、例えばトーキョーベイエリアのトレンドスポット、言い換えれば海沿い埋め立て地区の浮わついた一画では、イルミネーションに囲まれた恋人たちが寄り添って、LOVEだのSWEETだの書かれた色紙に包装された、茶色いブツの受け取りを行って、愉快によろしくやってるんだろうと考えたら、瞬間あんな埋め立て地なんか液状化して沈んでしまえと思い不愉快になり、オッサンにチョコをもらわなきゃこんな気分にならなかったのにと、ラーメン屋の余計なサービスを憎んでしまったという、まあ別に大した話ではありませんでしたけれども、今月14日は愛を確かめ合う日であると、洋菓子屋の広告でも目にしましたし、今月は恋愛について考えてみようかと思います。 トレンドスポットに集う人たちに対し、僕は今だに敵意を持っている訳ではなくて、むしろ機会と余裕があれば行ってみたいのかも知れないのですが、だけどそこへ行って愛を確かめたつもりになってるカップルに対しては、引き続き敵意を持っていまして、ホントはお互いの想いを確かめたりなどしてる訳なく、キラキラした風景の中に一カップルとして参加し溶け込み、フワフワ浮わついたその雰囲気に酔っ払い、気持ち良くなってるに過ぎないでしょうから、愛がどうとかは無関係であり、つまるところ、相手は誰でもいいはずです。 それでは反対にフワフワと軽くない、重い例を挙げたいと思います。「俺はお前のために死ねる」「あんたが死んだらあたいも死ぬ」という様な、テンションの高い激しい想い、これこそがやはり愛でしょうか?シンプルに伝わりそんな気もいたしますが、しかしこんなテンションでいつも一緒に居たら疲れるでしょうし、仮にこの想いが変な方向にそれてしまって、相手を呪い殺す程の嫉妬、またストーキング・ラブ等へ発展しかねないと考えると少し怖いし、むしろ一緒に居て疲れない感じの、軽い無駄口ばかり叩いてる様な、のんびり楽しい方がホッとしますから、軽いからって偽りだとも言い切れません。でもやはり軽いばっかりじゃダメでしょうし、何と言うか、これは何だかよく分からなくなって来ました。 僕もそんな経験豊富じゃありませんので、こういった話はこの辺で終わりにしたいとも思うのですが、数年前のラーメン屋に八つ当たりした時の自分よりもちゃんと成長したいので、もう少し掘り下げてみようと思います。恋愛について一番良いパターンとは、縁があって運命の人と出会い、結ばれて仲良く幸せに暮らすという形でしょうし、そういう風に見える方々もいますけれども、僕としてはその縁やら運命やらに疑問を持ち始めている節があって、それはホントはそんなもの無いんじゃないかという見解で、この良さそうなパターンも実はインチキであり、たまたまのタイミングの一致で知り合った二人が、相手を素敵な人だと勘違いし合って交際を始め、そのうちだんだん冷めるんだけど、それとは別にしがらみの様なものに巻き込まれたり、情みたいなのが移ったりして、引くに引けない状態に陥り、ある意味仕方なくくっつくんじゃないか、なのにそれを縁だの運命だの言ってごまかして、強く結ばれてるんだと思い込み、その安心に二人でもたれかかっているのではという、何だか幸せな方々には叱られそうな意見であります。 しかし心配はこの意見にこだわり過ぎると、恋愛について不信になって、結果自分が恋愛から遠く離れ、つまらない味気ない日々をずっと送ってしまいそうな事で、それは正直かなり困るし、恋愛に対し失礼でしたとワビを入れたい気持ちも生まれてしまいました。前述の僕の意見も、たまたま知り合うのが縁であり、引くに引かれないのが運命であるとの、論理のすり替えは可能でしょうと、一応フォロー?させて頂きます。 |