■ご挨拶
芝居の公演に向けた練習、つまり芝居の稽古とは、台本にあるト書きや台詞にもとづいて、動いたり喋ったりする事を、何度も繰り返すというのが基本です。その上で、うまくいかない動きや喋りを、稽古の中でやり直していきます。以前ふと思ったのは、僕達は普段の生活において、「後悔先に立たず」「覆水盆に返らず」と言われるように、やってしまった事はやり直せない訳ですが、芝居の稽古の中においては、やり直せたり取り返せたりと、普段は不可能な事ができると言えます。流れた時間を元に戻して、後悔を先に立て、覆水を盆に返す事が可能です。しかしながらそんな事を思うのも、稽古期間の前半までで、公演の日が近付くにつれて、色々と余裕がなくなって、時間に追われるという感覚を、普段の生活よりも一層、味わう事になったりしますが…… |